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管理人ぽんすけがボケ防止のために時々更新するかもしれない、趣味の備忘録。ときどき猫が登場します。


by jijichan2004
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砂の器

砂の器_b0048571_23455837.jpgお風呂の中で毎日ちょっとずつ読みました。後半、続きが気になって出るに出れず、(1時間以上お風呂に入ってた日も)汗だらだら流しながら読書の日々。面白かった。いろんな意味で。

まず、映画や最近の中居君ドラマ版の叙情的で感動的、盛り上がり等は期待してはいけません。ものすごく淡々としています。よくこの小説からあのような感動的作品が出来たなぁと感心します。もうびっくりするほど。わかってはいたけど古い。だって書かれたのが昭和30年代。三輪モーターだとか・・・共同トイレのアパートだとか・・・。和賀の現在の年齢を計算したらうちの父よりもっと上だということに愕然。最初の殺人はともかく、第二第三の殺人のトリックに唖然。そんなのありですか・・・。結構トンデモなトリックです。和賀英良がそもそも加藤剛や中居君が演じたようなピアニストではありません。音楽家には変わらないけど・・前衛的音楽というか電子音楽?従って映画やドラマで出てくるようなピアノ協奏曲「宿命」は存在しません・・
あの親子が和賀の奏でる「宿命」をバックに放浪の旅を続ける回想シーン。あの美しいシーンをこの小説から膨らましたんだからすごいなぁ。だって小説にはほんの数行記述があるだけなのだから。しかも、この親子は日本中を遍路姿で巡礼したのだろうという今西刑事の想像にすぎないわけだし。映画における、和賀(本浦秀夫)のお父さんが実は生きていて、今西刑事が和賀の写真を見せ、この人を知っていますか?と病床で尋ねるシーン。自分との関わりを世間に知られたら秀夫の未来が断たれてしまうという思いで「知らない」といいはるなんとも切ない感動的なシーン。あれも映画で膨らませたものだったんですね・・(小説ではすでに死亡している)

それから、途中まで小説は犯人が違うのかな・・・と思わせるような関川の描かれ方も面白かった。
by jijichan2004 | 2006-12-06 00:29 | 読書